対IS戦略

ISをどうこうしようと思ったときに何ができるか?を考えてみた。

 
■そもそも「どうこうする」必要があるのか?

彼らの目的は一体なんなのか?中東におけるカリフ制国家の樹立、メッカ等聖地の獲得なのか、それとも更に突き進んで、世界征服なのか?そして、彼らの目的が我々にどれだけ脅威を与えるのか?こういった点を冷徹に見極める必要があると思う。その上で、例えば世界征服が最終目的なのであれば、我々は我々のために立ち上がらなければならないだろうし、彼らが中東で満足するにしても、その統治方法が野蛮だから存在を一切認めないのか、それともある程度は目をつぶって刺激せず、中東の中で満足させる(してもらう)環境をつくるのか決めなければいけない。

ものすごーく冷たく言えば、あの地域に人道的介入をしたつもりで大失敗したのが10年前なんである。(空爆とか地上軍とかそういう方法論ではなく、「悪いもの [1] … Continue readingをなくす」という)その考え方そのもの、その妥当性というか効率性というか、要は「首をつっこむ意義」を前回からの一連の流れでもう一度疑ってみるのも必要なのではないか?その上で空爆なのか、地上軍なのか、それとも現地組織を支援して戦ってもらうのか、検討すべきでしょう。とはいえ、すでに現状は複雑怪奇、今更考えていられないし、考えた末 [2]主にサウジアラビアとイスラエルとの同盟関係と、それが解消したときの経済的問題、でしょうね。の空爆なんでしょうけど。

 

■で、実際どうするの?

そもそも空爆というのが、戦意を挫くのに有効かどうかという、第二次世界大戦からの大問題はおいておきます。これ、議論し始めたら終わりませんからね。とはいえ、一応ISを消滅させる方向で考えてみますと、空爆だけではまぁ、効果はないでしょう。すでに中東だけではなく、あちこちにISに忠誠を誓う組織ができてしまっているので、中東を爆撃して指導者を殺せても、また別の土地で立ち上がるでしょうね。かといって犠牲覚悟の地上軍投入を躊躇いなく実行できる国も少ないでしょうし、アフガニスタンにおける北部同盟のように、代わりに戦ってくれるような強力な組織もあるような、ないような・・・それに、上手く一部の都市でISに対して勝利を収めても、彼らは「負けそうになったら撤収」戦術を採用しているので、「守るべき国境を持たない」強さがある。となると、じわじわと、完全な包囲戦を敷くしかないんでしょうけど、はて、これは可能なのだろうか?

そもそもISの成り立ちがイラクのゴタゴタとシリアのゴタゴタに乗じてなのですから、そんなゴタゴタしている集団が足並み揃えて動けるとは思えない。しかも、「組織の壁」「宗派の壁」「宗教の壁」「民族の壁」といろんな壁があるわけです。その壁を簡単に乗り越えて統合戦線を組織できるのであれば、アメリカのイラク占領はもっと上手くできたし、ISも存在しなかったに違いない。ついでに言えば、イラクとイランはずっと仲良しだったはずだ!

また、経済的に石油や地元住民からの税収など、不安定な部分もあるかもしれないが、彼らの強みはシンパが世界中に散らばっており、しかもこのグローバルでハイテクな世の中、送金が(正規ルートでも、諜報機関等避けた不正規ルートでも)簡単になっていること。その辺については、まだ記事やニュースを見かけたことはないけれども、それなりの額が送金されているんではないかと疑っております・・・ISの立場が苦しくなれば、ますます送金額が増えるのでは?つまり、意外と包囲網下で持ちこたえてしまい、包囲網を敷いている側が内部分裂する可能性が高いと思うのです。

 

■IS無きあと・・・

一体、ワシントンやロンドンはどのように考えているのでしょう?民主的で世俗的な国家建設の夢破れた今、もう一度その夢を追いかけるつもりなのか?あの地域でそれができるのか?ロシアは帝政ロシア後、ソ連を経て民主化しましたが、それでもプーチンのような「俺についてこい」タイプが好まれていると言えます。中東ではどうなのでしょう?オスマントルコの統治後100年経って、民主主義が根差す環境ができたのか?(できてたらサダム・フセインはいませんね。)シリアはおそらく、今のアサド政権と反政府組織の対立が激化するでしょうし、イラクに至っては、誰がISの穴を埋めるのか?イラク政府に埋めることができるのかは非常に疑問です。

個人的にはサウジアラビアのワッハーブ主義による政策を見逃すことができるのであれば、ISも(まぁ、人質殺害問題や欧米におけるテロ活動が将来落ち着くのか?って問題もあるんですけど)見逃そうとすれば見逃せるのだろうと思います。今は欧米におけるテロ活動ゆえに、こちらの関心もISに向いている→「なんとかしなきゃ」→空爆、という流れになっていますが、欧米でのテロがひと段落してしまったら、その時こそISの動きなどあまり気にされなくなるはずです。現に今のアフガニスタンやソマリアなどいい例だ。

 

こうやってまとめると、なんだか「ISなんてほっとけ」みたいな主張をしているように思えますが、勿論そういうわけではない。ただ、ソ連のアフガン戦争以来、アフガニスタンに中東出身のイスラム原理主義者が集まっていたのを、イラク戦争が彼らのホームグラウンドに戻ってくるきっかけとなってしまい、そしてホームグラウンドゆえに上手くやってるという現実を認めなければ、見当違いな対応をしてしまい、ますます世界全体で泥沼にはまり込んでしまうと思います。まとめると「中東は、宗教、国、民族、部族といったいろんな階層で、色々な思惑が渦巻いているので、どのような戦略も帯に短し襷に長し、特効薬はない!」わぁ、本当に身も蓋もないな・・・でも、これが私の最近考えた、その結論です。 [3] … Continue reading

 

References

References
1 まぁ、「西欧にとって」とか「西欧のアラブ同盟国にとって」とか「純粋に(西欧の人道的観点から)許せないもの」とか、なんであれ「悪いもの」とここでは定義します。ちなみに、一応私のスタンスとしては「原理主義が悪い、という感覚は西洋的なものの見方であり、その文化圏内では本当に悪しきものと思われているのか検討が必要」という立場です。例えば女性のベールですね。私たちから見ると人権侵害のようですが、当の本人はどう思っているのだろうか?とはいえ、10代前半の結婚など、本人が判断できないままに行われるものあるし、名誉の殺人だとかその他諸々、どう見ても本人が嫌がっているにも関わらず・・・のケースも多いから、非常に難しい。よって「検討が必要」という立場です。というか「検討もせずに「悪い」と決めつけるのは、思考停止だ」という見方かな。
2 主にサウジアラビアとイスラエルとの同盟関係と、それが解消したときの経済的問題、でしょうね。
3 突然ですが、イスラエルは何しているんでしょうね?絶対に裏で色々調べていると思うので、そこから情報が出て来ればいいんですけど。まぁ、イスラエルだからな・・・

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